|
04 アケガタ 二人は春海の所で二日過ごし、邑瀬の家に帰った。 それから二週間。 店の手伝いをして、少しお使いをして。 そう、すべて出会ったままに。 「梨璃」 「んー?なあに?邑瀬」 「手紙」 ことりと。 邑瀬は別れの朝、小さな箱を梨璃に渡した。 「え?」 「あと…これ。精一杯のお礼。 梨璃は邑瀬を苦しめたから、そのぶんはひいてあるよ。」 いつもの笑みを浮かべて邑瀬は言う。 箱の中をみると緑色の髪飾りを渡した。 おそらく手作りなのだろう、微妙に形の違う二つの宝玉は 澄んだ輝きを放ちながら銀色の縁にのっていた。 そして邑瀬は商店街の出口、梨璃が帰る方へと共に歩いた。 梨璃は荷物と紙袋いっぱいの箱やらなんやらを持っていた。 餞別、バイト代。 さまざまな名目で送られた品々は食べ物であったり絵であったり。 なかなか個性豊かな総和家の皆さんの贈り物であった。 「ここで…引っかかっちゃったんだね」 ふと、気づいたように梨璃は歩きながら言った。 「ああ!ジーラのやつね! ごめんね。でも怪我も治ったし!OKOK!」 フフ とてもやわらかな笑みを梨璃は浮かべた。 そして別れの地点。 梨璃は特別寂しそうな表情を浮かべることもなく言った。 「おびえないでよ邑瀬。 大丈夫…ちょっと免疫できたから」 「?」 「だんだん大丈夫になれるかも。 邑瀬が居るから」 「梨璃が…いつ泣き出すかわからないからこっちはびくびくだよ。 梨璃に嫌われたら…いやだもの。 まあもともと背の大きい、会って一ヶ月未満の人は恐いんだけど… でもね、梨璃は好きだよ。 うん、梨璃は好きだから大丈夫 梨璃が私のこと嫌いでも私は好きだから」 「大丈夫だよぉ」 梨璃は邑瀬の頭に手を置いた。 そして優しくなでると頭についている緑色宝玉のはまった、金の縁取りの髪飾りを触った。 「言ったでしょう?」 邑瀬は梨璃の目を見た。 そして二人は笑った。 そして同時に言葉を紡いだ。 邑瀬は好きだから大丈夫 ≪終≫ |