32 船旅での戯れ
まず一つ、自身を落ち着かせるために大きな深呼吸。
そして今までに言われてきたことを思い出す。
手で髪をすき服にも変なものがついていないか調べる。
相手の状況をチェック。大丈夫、今は一人で風にあたっている。
ちなみにあのウザイ熊も見当たらない。
最後にもう一度大きく深呼吸をする。
そして一歩を踏み出した。
「よう」
ゆっくりと声をかける。
夕陽の中海をみつめていたスバルはすぐに振りかえった。
「なんだ、どうしたの?」
覗きこむような視線。
ここで目を決して離さないようにする。
スバルの問いには答えず小さく笑う。
大きく伸びをするとスバルは言った。
「船に乗ってもう三日。
大分なれたよね、船にも。
あ〜今日のご飯なんだろう」
眩しいのか何回も瞬きをするスバル。
それすら見逃さないようにじっと顔を見つめていた。
緊張のせいか心臓の音がやけに大きく感じる。
少しでも落ち着かせるために小さく深呼吸をひとつ、拳をぎゅっとにぎりしめた。
「…どうしたの?
なんもしゃべんないで」
今自分の顔はどんなだろうか。
目線は外さないようにしていてももはや意識的にそうしているだけであって
何故そうするか判断できていない。
スバルの不思議そうな目が気になった。
後ろでカタカタ音がする。
しかし最早そんなことを気にできるような状況ではなかった。
「?
変なの」
またスバルは視線を海にもどす。
横から顔をみつめるとその淡い髪と瞳は夕陽で橙に染まっていた。
スバルの髪に手をやり小さくすくう。
スバルは目をちらりとハヤテの方へむけた。
小さく息をつく。
最後にもう一度深呼吸。
ハヤテは笑うとさらりと言った。
「お前 可愛いな」
数秒の沈黙。
とたんにハヤテは激しい動揺に見まわれた。
やけに心臓の音が大きく聞こえるのは気のせいだろうか。
目を見開く反応すら見せなかったスバルはゆっくりとハヤテの方を向いた。
その姿は夕陽の所為だろうか、こころなしか赤い。
何か言わなくてはと思ったがこの口はどうにも自分から動き出しそうも無く
ただただ苦しいほどに響く心臓の音が痛かった。
小さく目を伏せる。
再び大きな目を開くとスバルは困ったように笑った。
「…?」
もう無理、お手上げ、ごめんなさい。
ハヤテはすごい早さで振りかえると扉に向かって叫んだ。
「もう駄目っス!副長!」
確認しなくてもわかるほどに顔は赤く、死ぬほど恥ずかしい。
早くこんな状況を脱したかった。
「あぁもう!良いところだったのに…!
こんの根性無し!」
大きな音をたて扉からでてきたのは船員達十数名。
中でもひときわ背が高く、妙にそぶりが落ち着かない男がハヤテを軽くはたいた。
長く伸ばした黒髪を小さくリボンでしばったその妙な男こそがこの船の副長であり、
ハヤテにいろいろとアドバイスをした男だった。
「スバルちゃんこんなに可愛いのに!
どうしてんなとこで止まんの!!
信じらんない!!」
副長はスバルに抱きつくと頬をすりよせた。
スバルはというといたって冷静に「ヒゲがいたい」と言ってのけた。
「あらごめんね。
まったく、どうしてそこで切るのよ」
「だってもう無理っス。
恥ずかしくて駄目、いくらなんでもこんなのないですよ」
ハヤテは下を向き恥ずかしそうにいった。
スバルはというとすぐにひらめいたようで笑っていった。
「何?ハヤテまた負けたの?」
静かにハヤテは頷いた。
思えば1日目、早速ハヤテが船員と親しくなりカードで遊ぶのを見かけたが
その数時間後に何故かスバルの元にやってきてハヤテはにっこり笑ってユミレオを一発叩いてから逃げた。
そして2日目、夕食後、船員達と談笑していると突然ハヤテはスバルをお姫様だっこし、すぐに降ろした。
どれも不可解な上、ひどく様子がおかしかったので問い詰めてみたところ
ゲームで負けたので罰ゲームをやることになったといっていた。
今日もそんなところだろう。
「なんでそんなに負けるのさ」
軽くスバルは言うがハヤテにとってはそれはひどく難しいことだった。
船員達は妙に強くしかも負けると恥ずかしかったり恐かったりでできないことをふっかけてくる。
もっとも罰ゲームはゲームをはじめるまえからきまっているので最初にやらなければすむことだが
なんせ優勝者に少しばかり値のはる酒が振舞われるとすれば話しは別だったし
参加者は十数名いたためまさか自分がまけるとは思わなかった。
前日二日の罰ゲームもなかなか痛さをともなうものだったがさすがに今日のはまいった。
最初は「軽く話す」程度のものだったのがいつのまにか「ときめかせろ」になったのは驚いた。
必死の抵抗空しく副長からはみっちりと手順が叩きこまれた。
「スバルちゃん驚いた?」
船員の一人が笑って言う。
スバルは困ったように一瞬笑ってから「普通」と応えた。
それはどうだろうか今となってはわからない。
「ハヤテ、もう一勝負する?」
違う船員からかけられる陽気な声。
ハヤテは必死に首を横にふった。
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はい!おつかれ!
何はともあれ書いていた私が一番テンション高いかと思われます!
楽しかった!!!
絶対に言えないような台詞を無理矢理言わせるのはたまりません!
おもしろ〜い。
スバルはどういう反応を本当は返したんだろうね。
「今、なんていったの?」
なんて意地悪すぎるじゃないか(笑)
「そうだね」
なんてスバルっぽくないじゃないか
「…やだ、そんなことないよ…」
な・ん・て!恋愛モノじゃないか!
ああもう楽しいな〜
少しでも皆さんが画面の前でフリーズしてくださると嬉しいです。
冷静に読むととてもつまらないので…!!
テンション高く行きましょう。
(2003/08/09....haruco)