17 砂の牙



午後になり、歩き出した二人と一匹はまもなくだれていた。

小さな岩陰を見つけるとすごいいきおいで駆け込み、二人、とくにハヤテはグビグビと水を飲んだ。

「そんなんじゃすぐ水なくなっちゃうよ?」

「だってぇ」

子供のように顔をしかめるハヤテにユミレオはじゃれる。

彼にとっては暑さを通り越してそうとうまいっているようで途中三度も倒れそうになった。

「スバル、冷却してやれ」

「ああ・・・・うん」

ハヤテはユミレオが相当やばそうだと悟るとスバルをうながした。

スバルも承知したもので、ハヤテの顔をみてからうなずくと色陣を編んで水を呼び出す。

はじめちょろちょろと出ていた水は次第に量を増し、小さな水溜まりを作った。

「いきなり水かけてもいいんだけど

 大変なことになったら嫌だしねぇ・・まあこれで我慢してよユミレオ」

ちいさくつぶやくスバルをよそにユミレオは水溜まりの水をのみ、しまいにはそこに体を投じた。

水はすぐに砂に交じり温度を下げ、ユミレオの体を少しではあったが冷やした。

「あぁ…・まだ三分の一もきてないんだよねえ…

 どうする?ハヤテ」

「いや、どうするって歩くしかねえだろうやっぱり。

 大丈夫だって、いざとなりゃあ五色陣で水も出せるしまあ当分の食料もあるし…保存食も…」

ちらりとユミレオをみるハヤテ。

びくんっ

ユミレオはすぐに何かを感じるとハヤテに向かってうなりはじめる。

「っへ・・!

 熊肉なんてずいぶんたべてないからな、楽しみだぜ!」

「アホ!」

スパン、と景気の良い音がした。



しばらく進む。そして休む。

途中に、街はない。

道はあるがそれは海沿いにあるため二人と一匹のあるく所からは相当距離があった。

急ぐ旅ではないが、そうそうゆっくりもしていられない。

先に何もみえぬ不安、後ろに続く空虚。

寂しさが、あふれていた。

そんな時だった。

ズブブブブブブブッ

低く音がふと耳にはいる。

急いでそれぞれ敵に備えて構えながら後ろを振り返るが姿は見えない。

確実に迫ってきている何かは砂の中をぼこぼこと走り、一行の方へ迫っていた。

「何!?やだ!魔獣!?」

「わかんねえ!このスピードじゃあ逃げられそうもないし!」

ボコボコボコっ

さらに、迫る。

砂丘の合間を縫うそぶりもなくただ一直線に二人に。

「ねえ!なんかあれの後ろから何か来るよ!?一緒に!!

 やだもう!!」

スバルの叫びに急いでハヤテは振り向き目を凝らす。

確かに後方には砂の中を走る生物についてくるかのように一つの影があった。

しかし影になってしまって

よくは、見えない。

「しかたねえ!やるか!

 スバル!ユミレオつれて下がってろ!」

叫ぶや否やハヤテは駆け出し地中の生物に向かっていく。

余裕はない。

地中の生物ははハヤテにむかい進んでくるとそのまま地上に姿をあらわす。

「ウラァ!」

叫ぶ。

ザム!

同時に連結棒を砂にさす。

少しずつ地上に姿をあらわしながら突進してくるとまっすぐにハヤテの方にきた。

ドンっ

衝突

「っなクソ!」

ギリギリと歯を食いしばるハヤテ。

地中のそれは連結棒に見事正面からぶつかるとハヤテに食い掛かるように地上にでている黒い頭の部分を必死に押し付けていた。

大きさ、いや長さといった方が正確だろうか。

砂の盛り上がり方から縦に長いそれはゆうに三メートルを超している様にみえた。

地上に出ているのはその頭部で黒色。大きく赤い瞳はハヤテを捉え、

激しく光りまるで鏡であるかのようなその牙は鋭く、先が紫がかっていた。

「ハヤテ!」

力の面で不利とみたかスバルは色陣を編む。

素早く口を通し指で拾い、巧みに腕に絡ませ胸の前で印を結ぶ。

小さく言葉を紡ぐとそれは一瞬光り、激しい水流となって謎の生物に向かって行く!

ズンっ

水流は一つの弾であるかのようにそれに向かって行くが急ぎ地に潜ったことにより砂に溝を作るだけに終わる。

「大丈夫!?」

「ああ、油断するなよ。

 そこいらにいるはずだから…ってうわ!」

ズバンっ

言いかけた言葉を切ってハヤテはよける。

突如足元に出現したそれの頭により砂はもりあがり、その頭は激しく砂を空中に撒き散らすのと同時にハヤテに牙をむいた。

そして、次の行動に二人は慌てる。

それは次にスバルの方へと向かっていた。

距離はなく、その移動速度は速い。

慌ててその突進をよけるスバルだがしつこくそれは追いかけてきて牙をむいた。

「っな!」

何度も踊るように跳ねてよけるスバルだが何度目かの攻撃をよけた時、思いもよらぬことが起きた。

スバルの足元はそれの体によって砂が盛り上がり、きわめて不安定な状態であった。

「っわ!」

「スバル!」

声 二つ。

それの頭はスバルの不安定な足元へ走り、さらに身をひねったスバルへぶつかった。

低く舞う、体。

それを追う視線。

数秒の間にハヤテは大きく叫び、ユミレオは吠えた。

スバルの空を舞う体を受け止めたのは、影。

地中の生物を追ってきていた影はスバルを走りながらにして砂地にぶつかる前に拾うようにすくい、かかえた。

なにか動物にでものっているのだろうかスバルの体はその動物に預けられ、影は飛ぶ。

高く。

日を後ろに背負い謎の生物にむかって矛を振るう。





そしてその矛は静かに

刺さった







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やった!やった!一日に三話アップいきました!!

スバルピンチ!跳ねられました!!

おそらく内臓とかやばいんじゃないかと!!

ココで出てくる謎の影(地中の生物を指した人)もユミレオと同じく前から出そうと思っていたので

やっとこさだせて嬉しいです。

広がれ!空旅ワールド!!

スバル、頑張れ!!









(2002/08/31....haruco)