9 洞窟内



色陣を組み、足を広げる。

口の中で小さく何かを唱えスバルは意識を手に集中させた。

広がる意識。手の中は次第に温まっていき糸を伝ってそれは小さな炎となる。

側の空気を絡めとり大きくなった炎はスバルが糸を前に押し出すと同時に放たれ、ヒカリゴケに勢いよく向かった。

ごぅっ・・・

低く深く音を立てて苔に移った炎は一気に広がり赤赤と床を照らす光となった。

「っわ・・・」

小さくもれる、ハヤテの声。

「・・・やった・・・んだよ・・・ね?

 成功だ!やっぱりアガリスク、炎であってたんだ」

嬉しそうに糸を振り回しながらスバルは笑った。

「どうする?

 これについて歩いて行くのか?」

「うん、そうしよう?

 普通こんな風に苔仕掛けたりなんかしないもの。絶対なにか在るって!!」

笑いながら光るの先を見つめ歩いて行くスバルを見てハヤテは天井を仰いだ。

「冒険肌・・・だなぁ・・・」





しばらく歩いて休憩。

いつまでたっても床の炎は散る事はなく、洞窟内を明るく照らす。

ハヤテ、勇気をだして苔に接触を試みる。

見た目に反し熱くない事を知る。

そしてまた歩く。

ふと、ハヤテが口を開いた。

「なんだかさっきから迷路みたいに入り組んでる中ただただこの道歩いてるけど大丈夫なんかねぇ」

「・・・」

同じ事を思っていたのかスバルは返事を返さず下を向きつつ歩き続けた。

そして三歩。

足元の苔を踏み、また三歩。

「知らないよ」

ぶっきらぼうな返事。

「ま、この道行くしかないんだろうけどな・・・」

ため息をついてハヤテは歩く。

「そういえば・・・さぁ・・・」

「何?」

「お前は兄弟とかいるのか?」

「ふふっ、居ると思う?」

「いる・・・かな?

 妹とか弟とかいそう。

 なんかいじめてそうだもん、お前。

 ああ、でも年の離れた兄弟とかってもありそう」

「なにさっ・・・それ」

笑いながらスバルは跳ねる。

楽しそうにハヤテの頭を跳ねたついでに軽くはたくとハヤテの前に回り込み後ろ歩きで歩調を合わせて話し掛けた。

「ハヤテは?

 兄弟とか、いる?」

「俺?」

目を大きく開き、次に笑う。

「いると、思う?」

先ほどのスバルの口調をまね、口元を笑わせながらいう。

ついでに意地悪そうに大股で歩く。

スバルは足を絡められぬようにあわせて大股で後ろ歩き。

一瞬困ったような仕種をしたがすぐになれたのかハヤテの目を見た。

大丈夫、どうせ先ほどからと同じ一本道。

曲がり角などなく、ずっと左右に揺れながらできた道なのだから。

「やめてよ、その顔。

 そうだなぁ・・・いる、かな?」

「へぇ・・・

 男?女?」

「女」

「上?下?」

「・・・下。

 妹、じゃなぁい?」

一瞬、沈黙。

ハヤテは微妙な面持ちのまま視線を前に移す。

眉をしかめて、また数歩。

「なに?どうしたのさ・・ハヤテ!」

一列に並んで歩く事に疲れたのかスバルが体を傾け横に並ぼうとした。

「おいっ!」

ふいにハヤテが手を引く。

スバルは不意をつかれ倒れそうになる。

さらに手を上にあげその体を保たせ、スバルが安定したと確認すると手を放した。

「なに・・・!!」

「あたり」

「はぁ?!

 なにいってんの!!

 いきなり手ぇひかないでよ・・・!!」

怒りを顔前面にだし、スバルはハヤテをにらんだ。

ハヤテはその顔を両側からぺちんとはさみそのまま右にうごかす。

「・・・・水?」

スバルが見たのは

数歩先から突如ひろがる小さな湖。

そして・・・水中からなお照らす、ヒカリゴケの光。

「水じゃねぇ?」

「手・・・痛い。

 なんであんな強く引くのさ」

視線を水に映しつつ手をさする。

湖は澄んでおり、水面からの風が足元に伝わってくる。

冷たい洞窟内の湖のほとり

冷たくて当然のはずのその空気は、なぜかぬるかった。

「だってお前あのままじゃ水に落ちてたじゃんかよ」

「痛いんだよ!いちいち手ぇ引くな!!

 ・・・で!?何!?海底にヒカリゴケが続いてるんでしょ!?

 ならなにさ、もぐればいいじゃないのさ。

 あたしはやだよ?言っとくけど。

 濡れさす?服きてるのに。水冷たそうなのに。ハヤテなのに」

一気に喋るスバルをハヤテは口を開けて見つる。

同じようにまくしたてるように激しく言い返してやろうかと口を広げて、やめる。

かわりに深くため息をついて腰に手をあてた。

「お前、うるさい上に勝手だな・・・」

「うっさい!

 知らん、もう知らん。おのれの言い分など無視。

 水の中はいってよ」

「いやだってば」

「やだよ、あたしは」

「いや、だから」

ふと会う、視線。

行かせようとする目。

行きたくない目。

両者本気な為、二人は同時にため息をついた。

これ以上言うべきか、それとも自分が行くべきかなど考えてしまって一言もでてこない。



結局 ジャンケン



静かな試合の最中。

三回のあいこの後、スバルが口を開く。

「分かったよ。

 もういいよ。多分どっちがいってもなんだかんだなるだろうし。

 一緒にもぐっちまおう?」

「俺も行くの・・・・?」

「阿呆」

本気で頭をはたく。

いいところに入ったのだろうか痛そうに頭を抱えてうずくまる。

そんなハヤテを見る視線があまりにも静かだったのでそれ以上彼は何も言わずに首を縦に振った。

二人はできるだけ、水遊びに適した服装になる。

荷物は一応、まとめて三重の皮袋にいれてハヤテの腰にひっかけ、スバルは色陣用の糸だけをもつ。

「行こうか」

言うと同時に息を深く吸い込み、二人は水中へ潜った。








 




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お・・・終んねぇ・・・やばいよ・・このペースで行ったらこの話し終わるの何百話先なんだろう・・・?

がんばりますね、うん。

さて、今回も前進しないお話。小さいところにこだわっていたら全く進みませんでした。だめだこりゃ。

雑談させるのが好きで。アクションも好きなはずなのにそっちには全然いかないです。

なぜか水中にまで潜っちゃったし・・・どうなることやら。

下着まで水に濡れちゃって気持ち悪いんだろうなぁ・・・

皮袋にいれたって浸水しちゃうって・・・

など、きっと大変なんでしょう。

濡れるのはともかく、浸水はしないといいなぁ。

きっとハヤテが巧みな縄さばき(皮袋の口を閉めるため)をみせるはず。多分。

だってハヤテの方が器用だもの。

ふふ。





(2002/07/29....haruco)